2021
02.10

タイムリープ

2021年1月11日。とてもショッキングな出来事。
何回も何回も若い頃通った、原美術館が閉館した。

南国な木が正面玄関にあり、古い白い上品な建物。その階段はなんだかちいさくて丸みがあってゆがんでいた。
その階段の近くにあった作品。
夏の暑い日に入る、宮島達男さんの「時の連鎖」。
その扉の中に入るとなんだか違う世界へタイムスリップするような緊張感があった。
デジタルの数字が不規則に色んな色で何かをカウントしている。
恋をしたり、友達と朝まで一生懸命遊んでいた青い夏の日に
一人でそこに居ると何かよくわからないのに落ち着いた。

数字、色、暗闇。
私達は宇宙でこんな所に居たんじゃないかと思う。
暗闇の中に数字が流れ、光っては消え、消えては光る静かな所に。

時は、私達が一般的に信じるようには流れていない。と、思い出させてくれる場所。
あの建物のあの部屋が恋しくなる。

細田守監督の「時をかける少女」で、主人公がタイムリープする時に宮島達男さんの作品そのものの中に飛んでいく。
あ。原美術館だ!と私はその時嬉しかった。
そして大きな時計じかけの中に入った時に、「ガーン。ガーン。」と音がする。
私が夜中に違う次元に入っている時、抜ける時、これと同じ音がする。
やはり芸術家や、映画を作る人、人が作った物の中には叡智がたくさん含まれていて
私はそれで答え合わせをしている。
あ、同じ所へ行っている人がいる。
それは誰かが居て良かったという孤独を癒すものでもあり、
だよね。っていう共感であり、
主人公が「お前タイムリープしてんだろ?」っていう言葉とも繋がり、
自分しか知らないような体験を誰かと共有できたホッでもあると思う。

私は寝ると旅をしている。
それを作品にしているけれど、能力が追い付いていなくてガッカリする事もある。
でも、そのチャンスを持っているという事が才能だと思う。

芸術は本当に素晴らしいと思う瞬間だ。叡智は溢れていて、気づかれるまでそこにずっとある。
やっぱり私は何かを創造して一生生きていく。

今度はちゃんと使命を果たしていく。ついつい世間に引っ張られる私は一人で居る事で自分を保てる。
「まゆみちゃんのやさしさはカルマだな。」と言った男が居た。私を太陽みたいに眩しそうに見て歌ってた。
近頃は、東京に帰れない期間が長すぎて、どんどん景色を忘れてしまう。
そんな時物凄く怖くなる。あれー。あの先はどうなっていたっけ。
どうか東京の美術館がこれ以上無くなりませんように。

そして私の文章もタイムリープしてんなー。

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